ハンドロールあれこれ

2021年4月18日日曜日

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『Atto Vannucci』のヘムの処理が好みではないので、ほどいてまつり直しました。
ヘムが細くなったことと、以前よりも剣先がしっかりしています。
ちょっと柄が斜めってしまったけど、まあいいでしょう。(また解くのめんどくさい。


というわけで、以前にも軽くまとめたことがありますが、今回は「ヘム(縁)」の処理について書きます。
巷では「ハンドロール」と呼ばれていますが、やり方は様々です。
ここでは、様々なハンドロールについて紹介したいと思います。

よりぐけ縫い / ルロタージュ

この縫製を採用しているメーカーは、『TIE YOUR TIE』『Drake's』『Le Lys』などがあります。
『TIE YOUR TIE』については、モデルチェンジに伴って、後述する「三つ巻き縫い」or「四つ巻き縫い」になっていましたが、現在、店頭に並んでいるものは元に戻っているようです。


ちゃんとロールしてる縫製になります。後述するものとの明確な違いです。
エルメスのスカーフ(カレ)では、この縫製を「ルロタージュ」と呼んでいます。

誰しも子供のころにティッシュで「こより」を作って、鼻に突っ込んだことはあるかと思いますが、あれと同じです。
実際やってみるとわかりますが、折るよりも巻いた方が細くなりますし、しっかりした仕上がりになります。

難易度としては、折る縫製よりも難しいです。
まず「しっかり巻く」のが単純に難しい。
生地の滑り具合でも巻きやすさは変わりますし、ストレッチの有無でも変わってきます。
個人的にはストレッチありの生地が非常に巻きづらかったです。

巻けるようなると次は「巻く生地量を一定に保つ」難しさが待っています。
これはもう慣れるまで反復するしかないですね。
私の場合はいつの間にか一定量で巻けるようになっていました。
自分の指の感覚で巻きやすい指の位置が見つけられれば、自然と一定の幅で巻けるようになります。
細かいストライプものであれば、ストライプが巻く量の目安になるので練習するには適切かと思います。

最後に縫うのに単純に「力」がいります。
巻くことでしっかりすることと、そのぶん針と生地の摩擦量が増えるため、針の通りが悪くなります。
巻く方の指にもそれなりに力が入りますし、変に力を入れると勢い余って針が指に刺さるし、終いには針が折れるしです。


動画ではそんなにキチキチに巻いていないので、サクサク縫い進めていますね。

三つ巻き縫い

ヘムの処理としては、基本中の基本です。
誰しも小学校の家庭科の授業で習いましたね。


折る回数は2回です。折った結果、面が3つできるので「三つ巻き縫い」です。
裏地なしのネクタイのうち、大半がこの仕様かと思います。
また、この仕様かつ手縫いのものは、折り部分の太いものが多いように思います。

太い理由としては、「折りやすい」というのもあると思いますが、
太くすることで「剣先がしっかりする」という効果もあるかと思います。

『ROBERT TALBOTT』のネクタイ。極太です。

四つ巻き縫い

『Atto Vannucci』がこれを採用しています。


こちらも折る回数は2回ですが、折る場所が三つ巻き縫いと違います。
そのため、できる面の数は4つになります。

生地1枚分厚くなるため、三つ巻き縫いよりしっかりします。
それでもルロタージュと比べるとふにゃふにゃしています。


1:50あたりから

動画内では「4回折って」と言っていますが、1本バラしてみた結果は「2回折りで面が4つ」でした。
※もう1本バラす予定なので、本記事の内容が間違っていましたら訂正します。

五つ巻き縫い

呼び名がわからなかったので、勝手に命名しました。語感が悪い。
私の知る限り、この縫製をしているのは『Passaggio Cravatte』だけですね。

四つ巻き縫いの折った部分をくるむように更に1回折ります。



『Passaggio Cravatte』のものは、生地が薄く折り幅もそこそこ太いため、そこまでしっかりしていないように見えます。
しかしできるだけ細くなるように仕上げると、ルロタージュと同じくらいしっかりします。

ヘムの立体感は、ルロタージュよりぺったりした感じになりますね。

左が五つ巻き縫い、右がルロタージュ

以前はこれで全部をヘムを処理していましたが、ルロタージュができるようになってからは、
ルロタージュと五つ巻き縫いのハイブリッドで縫製しています。

ルロタージュと五つ巻き縫いでまつる

ルロタージュですが、実は巻きづらい方向というものがあります。

ネクタイは着用時の都合上、布目に対してバイアス(斜め45度)で生地を取ります。
ルロタージュは布目に対して平行であれば比較的簡単に巻けるのですが、平行でない部分を巻こうとすると難易度が途端に上がります。
巻けないことはないのですが、時間がさらにかかることと仕上がりが汚くなってしまうことから、結局、やりづらい部分を五つ巻き縫いで縫製することで落ち着きました。


総括

私は、「よりぐけ縫い / ルロタージュ」が好みです。

もうこれは完全に個人の趣味嗜好ですね。

セッテピエゲは柔らかいのが特徴ですが、柔らかくても締めるべきところは締める。
そのような在り様が、なんとなくかっこいいように思う次第です。
あと触っていて楽しい。

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