タイの芯地

2016年6月23日木曜日

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今回は、タイを作るうえで欠かせない『芯地』についてまとめます。

芯地が売っていない

芯地云々の前に一番書いておきたかったことがコレです。

関東では日暮里が生地問屋街として有名ですが、そこにもタイ用の芯地となる生地の切り売りってないんですよね。


なぜか。
単純に需要が少ないからですね。主に男性が身に着けるものであり、着用するタイミングも限られています。更に首が締まって嫌だと忌避する人もいます。

そういう状況下で、趣味で何本もタイを作るような人は稀なのだと思います。

じゃあどうするのか。
実はタイの形にすでにカットされた状態で『キット』として売られています。

タイ工房:

ここのタイ芯をまとめ買いしました。
難点は、自分の好みの形にできないこと。長さもそうですが、微妙な横幅の調整が、整形済みのものだとやりづらいんですよね。やはりカットされていない生地の状態で入手できるのがベストですね。

ではでは、以降は芯地云々について書いていきます。

芯地の役割

タイに張りを持たせる。

これに尽きるでしょう。
芯地がないとシワができやすく、シワ の寄ったタイというのは見栄えがよくありません。

タイは実用要素より装飾要素の強いアイテムです。ジャケットを着て、ぽかんと開いた首元から胸元を彩ります。
ちょっとした距離で相手を認識したとき、タイは視界の中心あたりにあり、どうしても目に留まるものです。そういったときにヨレヨレだったりするのは、なんだかちょっと嫌ですよね。「あ、この人はそういう人なんだ」となってしまうのは避けられません。
そういったことにならないように汚れもそうですが、シワにも気をつけたいものです。


芯地の素材

『毛』または『ポリエステル』が一般的なようですね。
どちらもジャケットやコートの芯地として使われたりします。

天然繊維は丈夫で長持ち、でも高価。合成繊維は安価だけど傷みやすい。
違いはありますが、どちらも『シワになりにくい』という特性があります。前のトピックでも挙げたとおり、大事な要素です。

いくつかのメーカーのタイを分解してみましたが、安価なものでも毛芯を使っていましたね。
さすがに100均タイの芯地はポリエステルでしたが。

私の場合は、趣味でやっているためケチる意味もないので毛芯を使っています。

適切な厚さ

どこを調べても芯地の厚さについて書いてあるものがなかったため、実際に計ってみることにしました。

左から
 ・dunhill(毛芯+接着芯)
 ・スーツカンパニーで買ったもの(毛芯2枚重ね)
 ・タイ工房(毛芯1枚)
 ・服用の毛芯

◆比較 その1
計ってみたら、いずれも『1mm』でした。
毛羽立っていてちょっとわかりづらいですね。

◆比較 その2
服用の毛芯は、『0.5mm』でした。

分解した本数は少ないですが、色々触ってみた感じだいたい同じようなものでしたので、『1mm』というのが適当ですかね。

こうして比べてみるとタイの芯地はちょっと特殊で、お店で見かけないのもうなづけます。
服用の毛芯は結構見るんですけどね。

一番最初に作ったタイの芯地は服用のものを使ったのですが、ぴっくりするくらいペラペラです。
糸の太さ、密度、硬さによっても変わると思いますが、わずかな差でも大きな違いが出ますね。

表地:芯地の適切な組み合わせ

表地についてはまた別の機会に書くとして、ここでは表地と芯地のベストな厚みについてまとめます。

タイは基本的に首に巻くものなので、厚すぎてはどうしても不快感が増します。
逆に薄いと、今度はノット(結び目)のボリュームが出しづらくなり、スーツとのバランスをとるのが難しくなります。

これまでに何本かタイを作りましたが、表地の厚みは特に気にせず、自分の好みの色柄で作っていました。
結果、どれもアンバランスな仕上がりとなっています。

ただ直近で作ったリネンのタイが、個人的にベストな仕上がりとなりました。
その厚みが、『表0.7mm:芯1.0mm』の組み合わせです。

ただこれは『表地は0.7mm前後のものを使用する』と縛るものではありません。表地の厚みに合わせて、芯地を調整する形にできればバリエーションも増えるというものです。表地が厚ければ、芯地は薄く。表地が薄ければ、芯地を厚く……してはいけません。

ここがちょっと難儀なところです。
表地が薄い場合、芯地1mmのものでも、タイではなく芯地を首に巻いてる感覚が強くなってしまうんですね。触った感触も芯地が全面に出ている感じです。表地が薄い場合も芯地は薄くしたほうが良いように感じました。

では、ノットはどうするか?
これは結び目を工夫してボリュームを出すほかないですね。または、ジャケットのほうを軽くして、全体的に違和感のないバランスにまとめる形でしょうか。

まとめ

最初に書いた通り、タイに芯地は欠かせない材料です。
が、趣味の範囲で調達するには、ちょっとめんどくさい材料 でもあります。こればかりはどうしようもないですね。。。

ただ、今回このトピックを書くにあたって、色々計測したことはよかったですね。私の中でひとつの基準ができたのは大きいです。これを元に今後の制作に反映していければと思います。

最後に。
実は芯地を使わないタイプのタイもあります。「まるでスカーフを巻いているような」というように、軽やかなのが特徴です。

これについては、また別の機会に書きたいと思います。

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