タイ製作の1年を振り返る

2017年4月22日土曜日

t f B! P L
先日、自身が作成したタイを友人に見てもらう機会があったのですが、
普段喋り慣れていないのもあって、説明を端折ったりぼやかしたりしてしまいまして。。。

ネクタイを作り始めて早1年、ちょうどいい機会なので補足の意味も込めて、ここまでの経緯やこだわりについてまとめてみます。


1.なぜネクタイを作るのか



TIE YOUR TIE Oosaka from Instagram

この写真の奥から2本目、ペイズリーの織り柄のネイビータイ。
これがきっかけの一本であり、そしてタイユアタイのセッテピエゲとの出会いでした。

当時スタンダードな一本を探していました。(と思います。あやふや)
スタンダードならネイビーでしょう、ということで、物色していたところお店でこの一本を見かけました。もともと花柄やペイズリーが大好きだったこともあり、もう一目惚れに近かったと思います。

また同じ時期(というか更に1年前から)に体調を崩しており、長期で仕事を休んでいる状況でした。そんな中で気分を変える何かをしなければという想いがあり、いろいろ考えたり、試したりした結果、ネクタイを作ってみようという気持ちに至ったわけです。

縫う箇所が少なくシンプルなため、成果がすぐに目に見えること。(これ重要)
それと、作ったものは自分で使うことができること。

もちろん目指すところは、タイユアタイのセッテピエゲ。
こういった経緯で、私のネクタイ作りは始まりました。


ちなみに

このタイは手元にないんですよね。。。
ちょうどセールの少し前の時期だった(と思うのですが)ので、セールまで待つことにしたのです。ですがセールが始まると速攻無くなってしまったようで。。。

織り柄なのがいいんですよね。
遠くから見ればソリッドタイのようであり、近くで見ると盛大なペイズリー。
このギャップがたまりません。


2.手縫いへのこだわり

「こだわり」と書きましたが、実は単にミシンを引っ張り出してくるのがめんどくさかっただけなんですよ。。。

うちにはJUKIの直線縫いミシンがあります。ただ重量が10kg近くあるのと、結構奥のほうにしまい込んでいて出すのが大変なんですよね。。。

ミシンを出して糸の準備等する諸々の労力と手縫いに伴う諸々の労力、時間はかかるけど手縫いの方が圧倒的にお手軽だと感じます。

と、最初は若干不純(?)な理由だったのですが、今ではちゃんとした理由があります。詳細は次のトピックで書きますが、手縫いじゃないとやりたいことができないんですよ。

あとは贅沢感を味わいたいからでしょうか。あ、これも結構大きい理由ですね。
手縫いと機械縫い、どちらが贅沢か?と問われてもその答えは明白でしょう。

自分のために贅沢なものを」がひとつの軸になっています。


3.作りのこだわり

作りについては、「折る回数」と「縁の始末」について。

市販ネクタイのスタンダードは、『芯地あり・裏地あり・3つ折り』です。
ネクタイの基本も知らないのにいきなりセッテピエゲはハードルが高いだろうとスタンダードなところから始めました。

スタンダード → 裏地省く → 芯地省く・折る回数少 → セッテピエゲ

と、この一年で変遷していきました。
ネクタイの原型は首に巻いたスカーフと言われており、より原型に近い形に回帰していってる形ですね。

※一番右は直近に仕上げたもの

◆なぜ7回も折るのか
芯地を使わない場合、そのままではネクタイ自体がペラペラになってしまいます。
スーツというのはある程度カチッとした表情のものなので、これではアンマッチですね。

そこでほどよい厚みを持たせるために生地の折り込む回数を増やすわけです。
まあ、これは私見ですが。
(ネクタイの成り立ちを考えると、スカーフをコンパクトにするため折り込んだ結果、ペラペラが解消された。ということだと思います。)

生地の厚みにもよりますが、だいたい7回折るとちょうどいい塩梅になります。
手間がかかりますし、折る回数だけ使う生地の量も増えるため、3つ折りネクタイと比べて贅沢な作りと言えます。

また、裏地を使わない場合、何もしないと縁が切りっぱなしになってしまいます。
そのままでは織り糸がほつれてしまい美しいとは言えませんよね?
そこで縁を巻くことでこれを解消します。

タイユアタイのレオナルド・タッツァーリ氏は、この縁をできるだけ細く仕上げることがエレガントであり、また繊細であると言っています。

これは私も同意見です。

芯地なし・裏地なしのネクタイ自体は、さまざまなメーカーが出していますが、タイユアタイほど細い仕上げのものはほとんど見かけたことがないです。
太い仕上げはそれだけ簡単にできるため、そういうネクタイを見ると作りが甘いなぁという目線で見てしまいます。(決して甘いわけではないのですが)
まあ、この辺は個人の好みの問題ですね。

※一番上は裏地有ですが、裏地無でもこのくらいの幅で縁を仕上げているところはざらにある。

この縁の仕上げですが、ステッチを表側から極力見えないように仕上げます。
するとどうやっても手縫いでないと実現できません。

生地の織り糸を1、2本すくって、縫って、またすくって…

という作業を繰り返します。
すくう作業が雑だと表側からステッチが目についてしまうので手は抜けません。

大剣側、小剣側あわせて、2m近く手縫いで仕上げます。ここが一番時間がかかるところです。

◆手縫いの味について
まず下の写真を見てください。
縫い目が攣れてしまって、剣先がうねっていますね。


これを手縫いの味と捉えるか、技術不足と捉えるか。

実は先日、友人にお披露目する機会があったのですが、
この「攣れ」が気になると言われてしまいました。

当人は「味」のつもりでいたのですが、指摘されると確かに気になる。
そう思うのはそれが「意図的に作り出されたもの」ではなく「偶然できてしまったもの」であるが故かなと。

実は縫い方のせいで、どうしてもこうなってしまうんですよね。
 → 

   
これは完全に私の技術不足ですね。向上が望まれます。
機械のように精密に縫えるし、その逆に甘さをだすことできる。
これが出来るようになったとき、「これが手縫いの味なのさ」と胸を張って言えるかなぁと思う次第です。

※一番下のは、縁をこより状にして縫ってるので、攣れてはいない。


4.生地へのこだわり

使うのは天然繊維100%のものだけです。

化学繊維は化学繊維のメリットがありますが、天然繊維と比べると贅沢感はいわずもがな、ですね。
ここでも「自分のために贅沢なものを」が軸になっています。

ネクタイに使用する生地で一般的なのはシルクですね。その中でもネクタイ用に厚めに織られたものが使われます。


左が生地屋さんでよく見かけるシルク
右がタイ用に厚く織ってもらったシルクジャガード

ジャガードということもありますが、生地のコシの違いは一目瞭然ですね。

写真右のような生地が手軽に入手できればいいのですが、これが一般の生地屋さんではまず売っていない。
一部の男性用装飾品なうえに趣味で作るような人はほぼいないですからね。
ニッチすぎますね。。。

使いたい生地の優先順位は下の通りです。

シルク≒ウール > リネン > 綿

また絹混紡で光沢感があれば、これも進んで使いたいですね。

生地は主に日暮里で購入しています。
ただ生地の良し悪しについては素人なので、「高価=いいもの」というように価格頼りになっている面があります。

ちゃんと目利きして「本当によいもの」を仕入れできるようになれればと常々思います。。。そもそも「よいもの」の基準が明確でないのがいけませんね。
師匠と言えるような人に巡り合えれば。。。

あとヴィンテージシルクの生地がほしい。。。
ヴィンテージのネクタイ柄って、ちょっと派手というか豪華で素敵なんですよ。


5.これからの1年

今年始め、「販売したいなー」という気持ちで臨んだのですが、こうして見てみると出来上がるものはまだまだといったところですね。

ひとつひとつの仕上がりの精度を上げたいですね。
あと型紙直したいですね。
直したいところ、やれること盛りだくさんです。

目標はそのまま、初心を忘れないよう励んでいきたいですね。


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